俺がただ個人的に好きなミステリー小説勧めるだけ

読書の秋ですね。秋終盤な上に最近の気候はもはや真冬ですが。暑くなったり寒くなったりしろ。

 

今回の記事はタイトル通り、このロボアが好きなミステリー小説を簡単に紹介して勧めるだけの記事になります。

古典ミステリーはめちゃくちゃ今更な気がするので新作オンリーです。作家名は敬称略となっています。

 

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もう11月も後半だしせめて1ヶ月前に書く記事だと思ってんすがね…

 

小説おすすめ第2弾もやるつもりですが、ミステリーか別ジャンルかはまだ未定です。

 

 

 

 

 

容疑者Xの献身(東野圭吾)

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

ミステリーの名作として必ず挙げられる作品の1つ。東野圭吾作品の中でも特に有名で、映画化もしているのでそっちを見たことがある人もいるかもしれません。

天才的な頭脳を持ちながらも冴えないおっさんである石神が、想い人のためにその頭脳を活かし、警察も読者も欺きます。最後に明かされる真相にはあっと驚かされると同時に、“献身”というタイトルの言葉についても考えさせられます。

トリックだけでなく、終盤での探偵役・湯川の言葉や石神達の心理描写も素晴らしいの一言です。

 

 

名探偵のいけにえ(白井智之)

病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?

これはわりと最近出た作品ですが、第23回 本格ミステリ大賞を受賞しているうえに数々のランキングで上位に乗っており、何よりそれに恥じない大作です。昔実際に起こった海外の事件がモチーフにされています。

立て続けに事件が起こり、人がバタバタ死んでいきます。所謂多重解決モノですが、その解一つ一つに意味があり、 序盤から終盤まであらゆるところにヒントが散りばめられていて、それら全てが解決編で綺麗にまとまりきっています。

最終盤でタイトルも綺麗に回収されていて、(勿論いい意味ですが)作者に対してこの人頭おかしい…(小声)となりました。

 

 

双頭の悪魔(有栖川有栖)

英都大学推理研の一行は大雨のなか村への潜入を図るが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。 川の両側に分断された江神・マリアと、望月・織田・アリス――双方が殺人事件に巻き込まれ、各各の真相究明が始まる。

有栖川アリスによる『学生アリスシリーズ』の第3作目。2作目・孤島パズルのネタバレが少々含まれてるので孤島パズル→双頭の悪魔推奨なのですが、単体でめちゃくちゃ面白いのでこれだけでも勧めたい。

約700ページと非常にボリュームがあり、エラリー・クイーンに倣った「読者への挑戦」が3つもあります。ただし前作文庫版の解説には3問目のネタバレが含まれているのでそこは読まないことを推奨します。

最初は長くて読める気がしない…となかなか食指が動かないかもしれませんが、一度読み始めてみると文章力の高さと巻き起こる様々な波乱によってサクサク読み進められます。

 

 

満願(米澤穂信)

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。

アニメ化もしている『氷菓(古典部シリーズ)』『小市民シリーズ』の作者である米澤穂信の短編集。

短編なので手軽に読めるかつ6つの様々な事件が一気に楽しめます。氏は文章力も語彙力も高いかつ人間の心理描写を描くのが非常に上手いので、短くとも物足りなさを感じることはないと思います。

特に人怖系ホラー風味なミステリーが好きな人には勧められる一作です。

 

 

重力ピエロ(伊坂幸太郎)

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。

文頭の「春が二階から落ちてきた」で有名な作品。多分大体の人が好きな伊坂幸太郎の傑作の一つ。

主人公で語り手である“泉水”の弟・春は重い出生の秘密を抱えており、それ故テーマは非常に重苦しいです。しかし軽妙なテンポや会話で淡々と物語を展開させているので、読者の手を止めさせません。そして他の作品と同じく、終盤で伏線がどんどん回収されていく。その流れが毎度毎度秀逸です。

ラッシュライフに登場した黒澤が泉水と会話したり、その後出版された死神の精度に春が少し出てきたりと、伊坂作品は他作品とのリンクも特徴的で、そこも楽しいポイントですね。

 

 

七回死んだ男(西澤保彦)

高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすが――

主人公がいえループでき、その体質を活かして祖父の死を回避させようとするというちょっとSFチックなミステリー。

最初は「ループものということは同じような文章や展開が繰り返されて飽きるのでは?」と警戒されるかもしれません。

しかし、1章1章でおおまかな筋書きは同じでも、主人公の行動によって変化が訪れ新情報も与えられます。それがコメディチックに描かれているので飽きることなく楽しく読み進められる作品です。トリックも秀逸で、読み終えた後には「やられた」といったような感想が出ると思います。

あと登場人物クソ人間多すぎて面白い。

 

 

体育館の殺人(青崎有吾)

風ヶ丘高校の旧体育館で、放課後、放送部の少年が刺殺された。外は激しい雨で、密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと警察は決めてかかる。卓球部員・柚乃は、部長を救うために、学内一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。アニメオタクの駄目人間に──。

裏染天馬シリーズ』の1作目で『アンデッドガール・マーダーファルス』等の作者・青崎有吾のデビュー作。これでデビュー作なのが恐ろしい。

アニメの作品名やセリフがバンバン出てくるしノリや台詞回しも漫画やライトノベルに近いので、硬派なものを求めている方には敬遠されそうな作品ですが、一風変わった雰囲気ながらも探偵役によるロジカルな推理が積まれ、本格的で純度の高いフーダニットとなっています。

活字が苦手、堅苦しすぎるのは苦手、推理小説はどれから読めばいいのかわからない…と思う方もこれなら読みやすいかもしれません。

僕はオタクなのでアニメの作品名が出てくる度におっ!となったしそこも楽しかったです。あとヒロインの柚乃と後の作品から出てくる鏡華(not8歳のロボアガールズ候補)が可愛い。

 

 

十角館の殺人(綾辻行人)

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!

ありとあらゆる場所で必ず勧められてるし一文が調べるとすぐ出てくるくらい有名すぎるしで今更感はありますが、やはり面白いしよくできている。高校生の頃から数回読んでますがやはり叙述トリックの代表作として挙げられるのも納得の大作だと読む度に実感します。

館シリーズはこれを始めとして複数ありますが、個人的には『時計館の殺人』『迷路館の殺人』は読んでおいて損はないと思います。特に時計館は長いですが、この十角館と双璧をなすほどの面白さですし、人によってはこっちの方が面白いと言うほどなので。

迷路館も十角館には流石に劣ると思いますが、秀逸な叙述トリックとなっていますので是非。

 

 

まだ他にも好きな作品は複数あるのですが、キリがないので王道を往く作品で〆て終わりにしようと思います。

 

 

 

最後に

俺の思う叙述四天王は十角館、ハサミ男ロートレック荘、閉ざされた雪の山荘…ですかね(グロいの苦手なので殺戮にいたる病は未読)